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2025.05.14

エコキュート買い替えと賢い使い方

エコキュート買い替えと賢い使い方



――高温足し湯と追い炊き、そして冷め切った湯をどうするか――

1. はじめに


エコキュート(家庭用ヒートポンプ給湯機)は、夜間の割安な電力を利用してお湯を沸かし、昼間は貯湯タンクから給湯する省エネ設備です。おおむね 10~15 年は使えますが、経年とともに熱交換器やコンプレッサーの効率が落ち、電気代がじわじわ上がることがあります。本稿では次の三つを軸に解説します。

  1. 買い替えの最適タイミング

  2. 高温足し湯と追い炊きの違いと経済性

  3. 完全に冷めた湯は張り直すべきか




2. 買い替えを考えるサイン



  • 設置から 10 年以上:主要部品が劣化し始め、年間消費電力量が旧型比で数十%悪化している可能性があります。

  • タンク周辺のサビ水やにじみ:内部配管の腐食が進行している警告サインです。

  • 沸き上げ時間の伸び:以前は深夜電力帯で沸き切っていたのに、明け方までずれ込むようなら効率が低下しています。

  • 異音・振動の増加:ファンやモーター、コンプレッサーにガタが来ている合図です。


10 万円を超える修理見積もりが出る場合は、新機種への買い替えが経済的です。最新モデルは R‑32 冷媒や AI 学習制御を搭載し、旧型より年間電気代を 15~30 %削減できます。


3. 高温足し湯と追い炊きの違い


高温足し湯は、タンク内にある約 80~90 ℃のお湯を新たに浴槽へ注ぎ込んで温度を上げる方式です。給湯ポンプだけが動くため消費電力は数十ワット程度で済み、運転音も静かです。新しい熱いお湯が少量(およそ 3~5 L)増えるため、清潔さを保ちやすい反面、浴槽がわずかに満水になりやすい点には注意が必要です。
一方、追い炊きは浴槽内の湯を循環ポンプで吸い上げ、ヒートポンプや電気ヒーターで再加熱して戻す方式です。湯量は増えませんが、再加熱のためヒートポンプを昼間でも稼働させることが多く、数百ワットの電力を消費します。運転音も高温足し湯より大きめで、同じ湯を使い回すため衛生管理を怠ると雑菌が繁殖しやすくなります。


4. 経済性の比較



  • 温度差が大きい(5 ℃以上)ときは高温足し湯が圧倒的に有利です。夜間に貯めた高温水を活用するだけなので追加コストはわずかです。

  • 温度差が小さい(2~3 ℃)ときは、機種によっては省エネ追い炊きの方がトータル電力量が少なく済む場合もあります。

  • 昼夜電力単価の差が大きいプランでは、昼間にヒートポンプを動かす追い炊きは割高になりがちです。


したがって、実用面では「まず高温足し湯で温度を上げ、温度差が小さいときだけ追い炊きを併用する」のが最も電気代を抑える運用になります。


5. 冷め切った湯は張り直すべきか?


浴槽の湯が 30 ℃未満まで冷えた場合、追い炊きで 40 ℃に戻すには約 3.5 kWh の熱量が必要です。ヒートポンプの効率(COP)を 3 としても 1.1 kWh ほどの電力を昼間単価で消費します。これはおおむね 30 円前後です。
いっぽう、排水して張り直す場合は水道代が 40~50 円ほどかかりますが、給湯ポンプの電力は 0.05 kWh 程度(約 1 円)。電気料金主体のご家庭なら、両者のコスト差はほぼ拮抗しますが、衛生面では張り直しが圧倒的に安全です。冷え切って長時間放置した湯にはレジオネラ属菌が増殖するリスクがあり、肌トラブルや配管汚れを招きます。よって、湯が 30 ℃を下回ったら排水して新しく張り直すのが経済面・衛生面ともに合理的といえます。


6. 毎日できる節電・節水のコツ



  1. 夜間の沸き上げ量を見直す――家族構成が変わったら設定湯量を必ず調整します。

  2. タンク温度は高くしすぎない――一般家庭なら 40~70 ℃設定で十分です。

  3. ふろ自動は入浴直前に開始――長時間保温すると熱損失が増えます。

  4. 残り湯を洗濯などに再利用――使用分だけ翌日の沸き上げ量を削減できます。

  5. フィルター掃除と配管洗浄を忘れずに――年 2 回のフィルター清掃、年 1 回の配管洗浄が熱交換効率を保ちます。




7. まとめ



  • エコキュートは 設置から 10 年を超えたら買い替えを検討。最新モデルは電気代を最大 30 %削減します。

  • お風呂の温度調整は 高温足し湯を基本にし、温度差が小さい場合のみ追い炊きを併用すると経済的です。

  • 湯が 30 ℃未満まで冷えたら排水して張り直す方が、衛生面で安全かつ電気代もほぼ同等か割安です。

  • 節約のポイントは 夜間に蓄えた熱をムダなく使い切る設定と運用にあります。


これらを意識して運用すれば、快適さを保ちながら光熱費をしっかり抑えられるはずです。

【千葉県柏市・株式会社KYT】
第一種電気工事士・給水装置工事主任技術者が在籍し、空調設備・電気工事、水回りリフォームまでワンストップで対応できる千葉県柏市の設備工事会社です。
公式サイト → https://kyt-kurashi.com

カテゴリ:住宅設備の役立つ情報

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